銀河鉄道の夜

普段、小説はほとんど読まないのだが、漫画「恋する小惑星」で、宮沢賢治の作品は地学要素が多いと知り、興味が湧いて読んだ。

宮沢賢治といえば、読んだことがあるのは教科書に載っていた(と思う)「注文の多い料理店」くらいで、作品タイトルはいくつか知っているものの、内容はほぼ知らなかった。

最初はもっとも有名と思われる、「銀河鉄道の夜」を手に取ったわけだが、まず本作が未完成であることに驚いた。青空文庫で読んだのだが、欠損がいくつもあった。

この作品の中身は知らなくても、いろいろな漫画やアニメ、映画や音楽のモチーフや下敷きに使われていることは知っていたから、まさか未完のお話とは思わなかった。

小説に不慣れなこともあり、描写をうまく飲み込めない部分が多々あったが、それでもこの作品の幻想的な独特の雰囲気は魅力があり、ちょっとホラーっぽさもあるように思う。

終盤でジョバンニが実験や信仰、化学といったことについて教えられる場面の内容は、宮沢賢治の科学的思考や実証主義から来るものなのだろうか。なんにせよ、ここが1番印象に残った。

 風の又三郎

「銀河鉄道の夜」の次に読んだのが、「風の又三郎」だ。この作品も、漫画「恋する小惑星」の中で取り上げられていたので手に取った。

宮沢賢治の作品(といってもこの時点でまだ2冊目だが)に、うっすらと漂うホラー味が本作でも感じられた。冒頭の「風の又三郎」の登場場面だ。

終わり方が「えっ」という印象だった。これで終わり?というあっけなさというのか。

 グスコーブドリの伝記

宮沢賢治の作品を手あたり次第読んでいこうと決めて、3作品目は「グスコーブドリの伝記」にした。タイトルがなんだかかっこよくて惹かれた。

やはりこの作品でも「怖さ」を感じた。物語の展開もけっこうハードで、「これが童話なのか?」と思った。ブドリのタフさは見習いたい。

結末は少し悲しい…やるせなさ…なんとも言い難い。少なくともハッピーエンドではないと思うが…。今のところ、本作がもっともお気に入りかもしれない。

 鳥をとるやなぎ

4作目は、自分の好きな「鳥」が題材になっているっぽいタイトルである「鳥をとるやなぎ」にした。で、毎度のごとく本作でも「ホラー」らしさを感じてしまった。

いや…童話なのか? 自分はこの作品、「怖い話」と言われた方がしっくりくる。童話ってこういうものか? だんだんと自分の中で「童話」の概念が揺らいでくる。自分の童話のイメージがおかしいのかも。

いったい「鳥をとるやなぎ」とは何なのだろうか。物語の中ではっきりとした答えがわからないまま終わる点でも、もはや「怪談」とさえ思えてしまう。