Kindle Unlimitedで、クマにあったらどうするか―アイヌ民族最後の狩人 姉崎 等を読んだ。語り手・姉崎等さん、聞き書き・片山龍峯さんによる本だ。

野鳥観察が好きなので、たまに里山や自然公園などに行く。そういう時、「もしクマが出てきたらどうしよう」と考えることがある。

もう少し前の時代なら冗談で流される不安かもしれない。しかし、クマが住宅街に現れたというニュースが全国的に珍しくない最近なら、真面目に考慮すべき可能性だと思う。

この本では、アイヌ民族で長年狩猟を生業としてきた姉崎さんの経験知が、聞き手の片山さんによって文字化されており、クマに遭遇した際の対処が学べる。

もちろん本書の内容が絶対解ではないだろうが、やはり身一つでクマと対峙してきた本物のハンターの言葉は、非常にリアリティがあり、説得力が凄まじい。

また、アイヌ民族やその文化についても知ることができる点でよかった。なかなか馴染みのない分野なので、新鮮だったし、民俗学や自然環境保全に興味がある人にはオススメしたい。

最後の方の内容は、地球環境問題を考える上でも、とても重要な視点がいくつも語られている。クマを過剰に恐れる人間の方が、よほど怖い存在なのだと思えた。