岩田健太郎先生の「HEATAPP! たった5日で臨床の“質問力”が飛躍的に向上する、すごいレクチャー」を読みました。

医学部の学生さんを対象とした集中講義の書籍化で、症例に適切な質問を積み重ねていくことで、正しい診断へと近づいていく臨床プロセスを、先生と受講生双方向のやりとりで学んでいく…という感じの内容です。

私は医学部出身でもなければ、医療従事者でもないので、この本の内容が直接的に役立つわけではないのですが、この本から得られる岩田先生の考え方や学生へのメッセージは、ものすごく勉強になるし、有益なものでした。

受験を突破し、これから医師国家試験を受ける「答えを出す訓練ばかり受けてきた(いる)医学生」に対して、先生の講義で強調されるのは、逆に「問いを生み出す力」の重要性です。質問することの方が、答えることよりも大切なのだと。

これは、すっかり年齢を重ねてしまった今なら、本当にその通りだと実感しています。私は医者のような専門性の高い仕事をしていないですが、それでも「問いを発する力」を、学生のうちから涵養しておけばよかったな、と思うことばかりです。

他にも、時間効率を高めることの大切さや、英語などの勉強を続けることの有用性、アウトカムを意識した仕事への取り組み方など、普遍的に役立つ内容が満載で、こういう講義を学生の時受けていれば、電撃に打たれたように変われたかもと、妄想してしまいました。

比較的ページ数多めの本ですが、一気に読んでしまいました。読み物としても、とてもおもしろいです。医学生、医療関係の人でなくても、楽しめる&勉強になると思います。