
本田博通さん(個人サイト/note/X)のあるテキスト主義者の手記: 教師・エンジニアとしての自伝的テキスト論を読んだ。
元国語教師である本田さんが、これまでの人生を綴りながら、ご自身の思考や哲学に通底する「テキスト主義」について書かれている。
本作を手に取ったのは、もともと本田さんの別作品であるテキストデータ活用術1: 小説 家庭教師黒木一馬外伝というKindle本を読み、作者の方に興味が湧いたのがきっかけだ。
本田さんの半生は、いわゆる高学歴エリート的な側面もありながら、普通の人にはまずないような多彩な経験もされており、対極的な底辺層として位置付けされる私にとって「すごすぎる…」としか表現できない。
ただ、その広い意味での「テキスト」というものに対する試行錯誤や情熱は、(当然レベルの差は絶望的なまでにあるが)自分と共通点を感じたし、こんな風になりたい(なりたかった)と憧れを抱いた。
プログラミングを活用した情報処理やデータ整理は、ここ最近で私がもっとも興味をもっている分野なのだが、その理想を見せてくれるというのか、「こんなことができるんだ」と単純に驚いた。
終盤には児童文学にも触れられており、これも近ごろ宮沢賢治を読み始めた自分には強く響いた。ノルマ達成するがごとく多読するのではなく、徹底して作品に向き合う姿勢をもとうと思った。
動画が全盛の今、テキストはその対置にあるのかもしれないが、まだまだ私の知らない大きな可能性があることを教えてもらった。もちろん、シンプルに読み物としてもおもしろかった。